vol.49 2020年1月
実践経済学科2年 谷口 正樹
私は西安での3週間の留学中に多くの中国人の優しさに触れた。私はそれまで中国人に対して、外国人には冷たいのではないかなどといった偏見を持っていた。しかし、今回の留学を通して、中国人の真っすぐで偽りのない優しさと人情の温かさを知ることができた。
まずは私が中国の街中で中国人に道を尋ねた時のことを話していきたい。友人と3人で西安の町を散策していた時、1人の友人が「中国のゲームセンターを見てみたい」と言った。中国のゲームセンターには私も少し興味があったため、探すことになったが、中国の地図アプリで“游戏场”と調べてもうまく出てこなかった。そこで私は自分のまだまだ拙い中国語で街中の中国人の若者に話しかけることにした。
「这儿附近有没有游戏场?」
私は少し緊張し若干早口で話してしまった。最初はその若者は、私が中国の強い方言で話しているのかと思ったのか、「ごめんなさい、普通話しかわかりません」と言われた。しかし、ちょうどその日私は西安外国語大学のTシャツを着ていた。そして若者はそれを見て「西安外国語大学の留学生ですか?」と聞き、私の中国語をなんとか聞き取ろうとしてくれた。
その場に留まり時間にしては5,6分だっただろうか、その若者は自分のスマホの地図アプリを開き、丁寧に説明してくれた。私はお礼を言うと、若者は「大丈夫ですよ」と言って去っていった。私は話しかける前、もし私の中国語が変な風に誤解されたらどうしようなどと心配していたが、無事に伝えることができ安堵した。そして中国人の人情の温かさを感じた。
もちろんこれだけではなく、引率の高先生が道を尋ねた時も、その中国人は熱心に説明していた。私は中国人とは本当に人に対して思いやりがあると感じた。それは外国人対してというわけではなく、だれに対しても思いやりを持って接しているのである。
もう一つ中国人の優しさを感じた場面がある。これは私が直接経験したことではないのが、中国のバスに乗っているとき、高齢の方が乗車してくると、座席に座っている若者は自主的に躊躇うことなく席を譲るのである。こういった光景を一度だけではなく何度も見かけた。これは日本だと当り前だと思われるかもしれないが、実際はどうだろうか。譲るのに躊躇して結局譲らなかったということが多いのではないだろうか。中国人には現代日本人が忘れかけている思いやりの心を持っていると感じた。
もちろん中国総人口約14億人の全員がこのように優しい心を持っているとは限らない。しかし、多くの中国人はとても思いやりがあり、また外国人に対して寛容であるのだ。私は中国人のこのような一面を多くの日本人にも知ってもらいたい。そのために、中国語をもっと勉強し、日本と中国をつなぐ架け橋になりたい。